座談会
“現場を守る”毅然とした対応は可能か
「カスタマーハラスメント」の現状と課題(前編)
コールセンターでは、心ない言葉がオペレータを傷つける。大手玩具メーカーがカスタマーハラスメントへの対応方針を打ち出し、現場を守る姿勢が世間に浸透しつつある現在、本号と次号では、運営企業、業界を束ねる協会、法律家による座談会で現状と課題を考察する。
コールセンターでは、遠慮会釈のない言葉によってオペレータの心身が傷つけられることも多い。
大手玩具メーカーがカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応方針を打ち出したことで、現場を守る姿勢がようやく世間に浸透してきた。そこで、センターの運営企業、業界を束ねる協会、法律家に参加してもらう座談会を開催。現状と課題を考察した前半を紹介する。
コロナ禍によるストレスで、カスハラが急増したといわれている。
化粧品や健康食品を扱うファンケル、ネット証券のSBI証券の各電話窓口でも、ときに卑猥な言葉や暴言、恫喝といった迷惑電話が入っている。それに対し、ファンケルでは「難クレーム対応ガイドライン」を作成。SBI証券でも、顧客が不満を示したり、オペレータが問題行動と認識した事案をクレームとして登録し、対処している。
菓子メーカーが加盟する日本菓子BB協会では、会員企業から難クレームへの対応策やガイドラインを募り、業界全体としてカスハラへ立ち向かっている。それに対し、カスハラに関する相談や訴訟を数多く受けている香川総合法律事務所は、「企業が足並みを揃えることで、カスハラを生み出さない環境を作ることが重要」と、業界が一丸となってカスハラに対処する大切さを説いている。
出席者(順不同)
大泉 智 氏
ファンケル
カスタマーリレーション部 部長
河田 裕司 氏
SBI証券
カスタマーサービス部長
天野 泰守 氏
日本菓子BB協会
アドバイザー
香川 希理 氏
香川総合法律事務所
代表弁護士