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2022年10月号 <インタビュー>

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代島 裕世 氏

コロナ禍の衛生を支えた「プロ品質」を武器に
次の一手“ファンベース・マーケティング”に挑む

サラヤ
取締役 コミュニケーション本部長
代島 裕世 氏

新型コロナ禍で、大きな社会貢献を果たしたサラヤ。次の一手として見据えるのが「ファンベース・マーケティング」の実践だ。「まだBtoC市場では社名の認知度が低い」と言う代島氏は、「消費活動は投票活動。知名度を上げ、お客様に選んでもらうための活動拠点としてCRM室やコールセンターを位置づけたい」と意気込む。

Profile

代島 裕世 氏(Hirotsugu Daishima)

サラヤ 取締役 コミュニケーション本部長

早稲田大学第一文学部卒。1995年サラヤ入社。商品企画、広告宣伝、戦略PR、マーケティングを担当。認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン、NPO法人ゼリ・ジャパン理事。東アフリカで「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」「病院で手の消毒100%プロジェクト」「SARAYA Safe Motherhood Project」を立ち上げた。

──コロナ禍で売上げはもちろんですが、知名度も一気に向上したと推察されます。その変化は実感されていますか?

代島 売上げは急拡大しましたが、まだ課題も大きいと認識しています。当社の売上げ比率は、圧倒的にBtoBが高く、全体の5分の4程度を占めます。今年、創立70周年を迎えましたが、BtoCは歴史が古い割には企業知名度が低く、コロナ禍前の認知率調査で20%程度。コロナ禍で向上したといえども、現在も30%ほどです。

 ヤシノミ洗剤、arau、ラカントのように、ブランド認知度が高いものもあるのですが、肝心の衛生分野のブランディングが遅れたのは否めません。

──グローバルにも進出されていますね。海外での認知度はいかがですか?

代島 欧米では、競合他社も強いのでさほど高くはありません。しかし、2010年から東アフリカに進出、世界で最も衛生環境が悪い地域で「手洗い」の普及に努めてきました。現地で衛生環境の向上に貢献してきた結果、新型コロナウイルスのパンデミックを経て、ウガンダではアルコール手指消毒剤のことが「SARAYA」と呼ばれるほどになりました。

──長い時間をかけた取り組みですが、収益面での貢献は。

代島 (アフリカでは)ウガンダを中心にしたソーシャルビジネスを展開していましたが、収益だけ見るとコロナ前までは赤字続きでした。それが一気に逆転し、累積赤字を解消したのみならず、日本円で数億円規模の黒字化に成功しました。もちろん、日本でもBtoB市場で蓄積してきた「プロフェッショナル品質のサラヤ」というブランド力が発揮され、大きな成長を遂げることができました。2020年10月決算時の連結の売上げは、2019年比で約1.5倍にまで拡大しています。

数々の奇跡が支えた
コロナ禍での大躍進

──あまりメディアでのプロモーション展開はされていません。コロナ禍は、一気に広めるチャンスだったのでは。

代島 マスメディアでのプロモーションではなく、プロダクトでプロモーションする「プロダクト・メディア」を優先しています。近年、「ソーシャル・プロダクト」が注目されるようになり、共創型の製品やサービスが受け入れられやすくなりました。現在はさらに進んで、社会的課題の解決に取り組む事業者を応援する「エシカル消費」がトレンド化しています。サラヤはその領域で支持されるブランドを目指す方針です。

(聞き手・矢島竜児)
続きは本誌をご覧ください

 

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