<コーナー解説>
ITソリューションの導入に関し、背景や動機、選定要素と運用ポイントを聞く事例記事です。
HTBエナジー
顧客の声を集め、カイゼンに活かす!
オムニチャネル、在宅も実現したクラウド基盤
全国に電力・ガスを供給する「HISでんき」を運用する、HTBエナジー(福岡市、赤尾昇平社長)は、顧客満足度向上を目的にデジタル化を推進、24時間、誰でもサポートを受けられる体制の整備を進めている。チャネルは電話・メール・チャットとマルチに対応する。
自社運営しているコンタクトセンターは20人体制と少数精鋭だ。業務統括本部 本部長代理の上埜山 智仁氏は、「定型的な問い合わせ業務を最適化し、限りある人的リソースはVOC活動などによるサービス改善に振り分ける必要がありました」と課題を振り返る。しかし、さまざまなチャネルを用意してはいるものの、それぞれの処理プロセスが独立しており、チャネルをまたぐと顧客情報の特定や引継ぎなどで応対時間が伸びてしまっていた。
これらの課題を解決するため、2019年7月にジェネシスクラウドサービスが提供するコンタクトセンタープラットフォーム「Genesys Cloud CX」を導入。電話・メール・チャットなど、すべてのチャネルを有機的に連携、管理できるため、オムニチャネル対応が実現、上埜山氏は「お客様をお待たせすることが少なくなりました」と語る。
Genesys Cloud CXを採用した理由のひとつに「アンケート」機能がある。電話対応のあと、自動でアンケートメールを配信。得られたVOCは各部署に共有し、WebサイトのUIやUX、サービス導線、応対品質向上に活用している。また、顧客のPC画面をオペレータが共有できる「コブラウズ」機能も顧客満足度向上に役立った。これを活用し、申し込みなどの操作でつまずいている顧客を画面共有でサポートしている。
新型コロナ禍の拡大に際しても、自宅からでも会社の電話番号からの発信が可能で、「Wi-Fi環境と端末さえあれば、自宅でコンタクトセンター同様の仕事ができます」と上埜山氏は説明する。
今月のPOINTS!
■システム概要
ジェネシスクラウドサービスが提供するクラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「Genesys Cloud CX」。電話・メール・チャット・FAQなど、マルチチャネル対応に必要とする機能をオールインワンで提供、管理業務を大幅に省力化できる。また、クラウド型のため、拠点に捉われないマルチサイト型センター構築が可能になる。
■選び方のポイント
オムニチャネルの実現や、「アンケート」「コブラウズ」などの顧客満足度向上に役立つ機能が採用の決め手になった。また、新しい機能が順次アップデートされる進化性も評価した。
■使い方のポイント
アンケート機能によって得られたVOCを各部門に連携し、エフォートレスなサービス設計・改善に役立てている。ベンダーやSIに依頼せずとも柔軟にカスタマイズできるため、社会ニーズの変化に応じて、「コブラウズ」など新サービスの立ち上げを進めている。また、クラウド型という特徴を活かし、コロナ禍では1日でテレワーク環境を構築した。
業務統括本部 本部長代理の上埜山 智仁氏
図 「Genesys Cloud CX」によるネットワーク環境
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