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2020年6月号 <インタビュー>

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坂井田 輝 氏

新型コロナが変えた「バックアップ」の概念
全業種で必要な“出社させないBCP”

MS&ADインターリスク総研
リスクマネジメント第四部
事業継続マネジメントグループ
グループ長 上席コンサルタント
坂井田 輝 氏

地震と台風、新型インフルエンザ。2000年以降も、日本はさまざまな災害に見舞われ、そのつど、企業のBCP(Business Continuity Plan)は練り上げられた。しかし、新型コロナウイルス感染症においては、後手に回る企業が多い。BCPのプロフェッショナルである坂井田氏にその背景、今後の対応を聞いた。(4月24日取材)

Profile

坂井田 輝 氏(Akira Sakaida)

MS&ADインターリスク総研 リスクマネジメント第四部
事業継続マネジメントグループ グループ長 上席コンサルタント

1991年 東京大学経済学部卒業、三井海上火災保険(現・三井住友海上)入社。主に総務部門・法務部門において、BCP策定・危機管理・情報管理・安全運転管理・株主総会・株式業務・文書法務業務・企業合併対応等の実務を担当し、管理職を歴任。2018年より現職、主に企業のBCP策定コンサルティングに従事。

──新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されてから1カ月が経過、5月末までの延長も確定しました。企業のBCPに対する取り組みや見方について、何か変化が生じていると感じられますか。

坂井田 中食産業や配送業などのごく一部を除けば、業績の著しい悪化が表面化している業種が多く、とくに観光業や運輸業、飲食店などは深刻です。また、それ以外の業種も急激な変化によって目前の対応に追われる企業がほとんどで、これまでのBCPが機能しているか否かの検証も難しい状況です。ましてや、アフターコロナを見据えたBCPの再構築まではとても手が回っていません。

──2011年の東日本大震災以降、BCP構築に尽力した企業も多く、実際に近年の台風で有効に機能した事例もありました。しかし今回は、政府も企業も対応が後手に回っている印象を強く感じます。

坂井田 今回のパンデミックは、世界的にほぼ同じタイミングで猛威を振るった点で、今までの感染症被害や災害とは性質が大きく異なります。2000年以降に発生した感染症であるSARS(2003年)や新型インフルエンザ(2009年)、MERS(2012年)は比較的、散発的でした。また、感染症に比べると、地震や台風の被害は局所的です。今回は、代替やバックアップという手法が効かないのです。さらに今回の自粛は、東日本大震災のときのように経済界が自発的に動いたというより、国(政府)からの要請です。この全国規模での自粛要請も従来、想定していた範疇を超えた要因と考えられます。

「出社可能人数の確保」から
「出社させない」働き方へ

──今後のBCPは災害の種類ごとに個別の対策を講じる必要があるのでしょうか。

坂井田 日本は世界でもっとも多く、地震に見舞われる国です。水災(台風)も多いのですが、地震は予測が不可能な不意打ちの災害で、インフラや設備の倒壊など、直接的な被害が大きい。BCPの基本は、「大地震対策」が幹になるのは今後も変わらないと思います。しかし、より多面的な状況に対応できる体制を構想する必要は生じるでしょう。

──従来のBCPのどのような部分を変える必要があるのでしょうか。

(聞き手・生嶋彩奈)
続きは本誌をご覧ください


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