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2020年1月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

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わたちゃん

オムニチャネル、生かすも殺すも現場次第

ISラボ 代表 渡部弘毅

 コンサルタントとしてご支援させていただいているアパレルメーカーのブランド品を最近よく購入する、わたちゃんです。カミさんからは、「最近、色気づいて怪しいことをしているんじゃないか」と疑われています。

 小売業におけるオムニチャネル施策には、主に次の2つがあります。ネットで閲覧した商品を店舗で取り置きして、試着したうえで購買する、「ウェブルーミング」関連サービス、そしてもうひとつが店舗で確認したものの気に入ったカラーの在庫がない場合、その場でネット検索と受注処理し、配送手続きまで行う「ショールーミング」関連サービスです。いずれも、顧客ロイヤルティを向上させる有効な施策であることが実証されています。実店舗とネットのシームレスな購買体験を提供することは、お客様にとっても企業側にとってもWin & Winの関係を実現するということです。

 しかしながら、実現にはインフラ整備が課題となります。顧客情報や商品情報、対応履歴、在庫情報のネットと店舗間での一元管理、売上計上ルールや評価制度の見直しなどが必要で、一朝一夕に進められるものではありません。とくに、店舗をメインにしてきた小売業には、ネットビジネスを開始するだけでもハードルが高く、そう簡単にはオムニチャネルサービスまでは至りません。結果、お客様には「複数のチャネルで買い物ができるだけ」といった、いわゆる「マルチチャネル」止まりになってしまいます。

 もっとも、インフラ整備が整っていなくても“オムニチャネル的”な対応は可能です。

 ある日、お気に入りのAブランドのシューズを買うため、百貨店に行きました。ところが、Aブランドを取り扱う店舗には、自分のサイズに合うシューズがなかったのです。ちょっと大きめのシューズを目の前にして店舗スタッフは「今はこのサイズのみです。どうしますか?」としか言いません。妥協しそうになりましたが、隣のBブランドの店を覗いてみることにしました。そこにも、自分好みのシューズが置いてありましたが、在庫確認をしたところ、やはり自分のサイズはありません。しかし、この店舗のスタッフからは、「ネットでも同じ商品を販売しており、サイズもあると思いますので是非のぞいてみてください」というひと言がありました。

 帰宅してBブランドのECサイトを覗くと、確かに自分にあうサイズの在庫がありました。ついでにAブランドのECサイトをのぞくと、こちらにもサイズの在庫がありました。結果、Bブランドのシューズを購入したのですが、Aブランドのスタッフが、「ECサイトでお客様に合ったサイズが買えますよ」のひと言があれば、おそらくBブランドに目移りすることはなかったでしょう。

 オムニチャネルは、インフラの整備も重要ですが、お客様目線に立った、ちょっとした気づかいでも実現できると感じます。

図 気づかいオムニチャネル対応

図 気づかいオムニチャネル対応


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