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2018年10月号 <インタビュー>

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冨満 康之 氏

「ANA経済圏」を担う新会社のミッション
搭乗体験から“日常体験”への進化

ANA X
顧客戦略部 部長
冨満 康之 氏

1990年代後半から「デジタルシフト」を開始した全日本空輸(ANA)が、「ANAグループ経済圏」構想を打ち出した。ANA X(エーエヌエー エックス)は、グループ全体の顧客戦略を担う、経済圏確立のカギを握る新会社だ。顧客戦略部を率いる冨満氏は、「飛行機という非日常体験から、“日常”で使ってもらう仕組み」創りにまい進している。

Profile

冨満 康之 氏(Tommitsu Yasuyuki)

ANA X 顧客戦略部 部長

ANA入社後、ITやマーケティング部門、情報子会社の経営企画などを経て、2014年、マーケティング部門でデジタルマーケティング組織の立ち上げと運営を統括。ベンチャーキャピタルへの常駐、ANAの新規事業開発プロジェクトを推進。2018年4月よりグループの顧客戦略事業を担う新会社ANA X(エーエヌエーエックス)にてロイヤルティマーケティング統括、ANAマイレージプログラム統括、新規事業の企画・開発推進を担当。

──ANA Xが設立された経緯を教えてください。

冨満 全日本空輸(ANA)のマーケティング部門のなかで、主にANAマイレージクラブ(AMC)の企画・運営を担っていた部署(ロイヤリティマーケティング部)がスピンオフして2016年末に設立された会社です。ミッションは、「ANAグループが持つ顧客資産を活用した戦略的マーケティング会社」として設立されました。より具体的に言うと、航空会社の主体事業である航空券販売をはじめとしたエアライン領域にとどまらず、より日常的にANAを利用してもらうためのオンラインストアやファイナンシャル、ライフスタイルなどの「ノンエア領域」におけるビジネスを拡大し、「ANAグループ経済圏」を確立するための中核会社として期待されています。

機能だけでは差別化できない
「デジタルコンテンツ」の充実図る

──マイルを航空券以外にも使ってもらうための施策を考える会社、と捉えていいのでしょうか。

冨満 ANAグループ経済圏の中心はANAマイレージクラブです。現在、3100万会員を抱えていますが、ほとんどは貯まったマイルを航空券に換えているのが現状です。経済圏の確立には、利用シーンをもっと“日常”に近づける必要があります。

 これまでの航空会社は、「飛行機に乗る、あるいは乗るための機能を提供する会社」でした。しかし、機能だけに特化していては差別化が難しい。最近のわかりやすい事例でいえば、機内Wi-Fiのように、すぐに同じ機能を提供できてしまいます。マイレージクラブも同様で、航空券に換えるだけならどこの会社でも同じです。とくに最近、飛行機を使いだした若い方々は、「ANAだろうがJALだろうが変わらない」と思っていると思います。もはやエアライン事業だけでロイヤルティを高め、ファンを創るのは難しい時代になっていると感じています。さまざまなデジタル・コンテンツを提供し、マイルを貯め、使ってもらうためのコミュニケーションを提供する戦略と仕組みが必要です。

(聞き手・矢島 竜児)
続きは本誌をご覧ください


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